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21世紀がすぐそこまで来ている。いや、この小文が皆様の目にふれる時にはもう21世紀になっているかもしれない。想いおこせば20世紀は大量生産に基づく現代物質文明が飛躍的に進歩した世紀であった。この世界中に普及した物質文明により、人類は王侯・貴族でなくともある程度は豊かな生活を営めるようになったと言える。
しかし、一方で現代物質文明は人類に大きな災いをもたらした。その最たるものはなんといっても戦争であろう。20世紀は物質文明が生み出した近代兵器により、かつて人類が経験した事のないような悲惨で大規模な戦争が何度も行われた世紀であった。
現代物質文明によって引き起こされたもう一つの災いは、世界的規模の環境破壊であろう。20世紀は物質文明の普及により爆発的に増加した人類による大規模な環境破壊が進んだ世紀でもあった。
化石燃料の大量燃焼に起因する二酸化炭素増加と温暖化現象、化学薬品の大気中への拡散によるオゾンホールの形成と地上に降り注ぐ紫外線量の増加、人口増加や様々な要因による森林の減少と砂漠化。環境ホルモンによる人類の、いや生物全体の種に関する不安。いずれも心が痛む問題ばかりである。
さらに、身近なところではゴミの問題。ゴミ問題に対する意識も高く様々な方法が工夫されている国もある一方、世界の地域によっては今でも目を覆いたくなるようなゴミの山がめずらしくない。
これら多くの環境破壊の問題は多種多様、複合的であり、その解決は容易ではない。非常に多くの方面から多くのエネルギーをさいて一歩一歩、少しずつでも改善してゆくしかないように見える。
私共の、北海道大学大学院地球環境科学研究科は、そのような人類の難局を少しでも改善しようという使命を持った組織である。この中で私の所属は、生物系分野の専攻のうち、資源科学講座、つまり、捨てられている生物関連物質を資源に変えようという明確な目的を持った講座である。
自然界には、多くの蛋白質、セルロースやデンプン等の多糖、DNA等の核酸、天然ゴム等、実に多くの種類の天然高分子が存在している。これらの中には、セルロース、デンプン、羊毛、絹、天然ゴムのように古くから人類の生活に役立ってきたものもあるが、一方では全く資源として顧みられていないものや、また生活廃棄物として環境汚染源になっているものも多い。
しかし、これらは、見方を変えれば、有望な天然の素材と考えることができる。たとえば、捨てられているカニやエビの殻には、キチンという物質が含まれており、医用材料の分野で有望である。魚類の白子は卵と異なりほとんど食されず捨てられているが、これには大量のDNAが含まれており、これも素材としての利用が考えられる。
動物の皮や骨には多量のコラーゲンと呼ばれる蛋白質が含まれている。これらの物質はいずれも生物に関連した天然の高分子であり、科学合成された高分子に比べ地球環境や人間に優しい素材と言える。これらの物質はそれぞれ固有の性質、機能を持っているため、工夫次第で様々な目的のすばらしい機能性素材に換える事ができる可能性が秘めている。
つまり、“ゴミから宝物へ”である。
多くの環境問題がある中で、私達の試みは実に小さいとも言えるが多種・多様で大規模な環境破壊という大敵に立ち向かうには多くの人々が様々な試みを一つ一つ積み重ねてゆくしかないのではないかと考えている。
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