トルコ イスタンブールのホームレス状況

トルコ支局長 デニズ・オネル

イスタンブールのホームレスについて自分なりに書こうとしたが、どうしても女性特有の感情で物事を捉えてしまう傾向があるので、彼らの現状を伝えるのに適当であるかと疑問を抱いた。家族も住む場所も持たない人々の絶望的な視線に、身震いするほどの悲しみを感じずにはいられなかったからである。そこで私は、もっと客観的な見方ができる人にお話を伺うべきだと考え、芸術やデザインなどの講義をしているマシュー・ジョーンズ氏にインタビューした。

-イスタンブールにはどのくらいお住まいですか?
「6年ほど。この間に"多分"ホームレスだろうという人、何名かと関わってきました。」

-"多分"とはどういう意味ですか?
「推測でしかないからです。誰が、どのような実態で生活をしているか知るすべなどないのです。とにかく、ほとんどの路上生活者は、彼らを批評・批判しようとする社会的調査に対して協力的ではないのです。何人が路上で生活しているのか、あるいは何をもって"住居不定"とするかを特定することなど、不可能だということなのです。」

-それはどういう意味ですか?
「一口に"ホームレス"と言っても、それぞれ違った形で存在するということです。"ホームレス"という決まりきった言い方が、無数に存在するグループや、彼らのライフスタイルを統一的に表現してしまっていると思います。」

-たとえばどんなグループがあるのでしょう?
「彼らがホームレスとなった動機から考えましょう。『詩の才能を発見するため』や、『ロマンスを求めるため』などという理由で、好き好んで住んでいた場所をあとにして、路上生活に切り替える人などいません。確かに、都市への人口流入、失業、家庭の崩壊は、多くの都市において社会の裏側にコミュニティを存在させる原因です。もし、"ホームレス"を分類したいのであれば、化学接着剤の吸引中毒者たちが、ホームレスの中でも、最も底辺に属すると考えるといいでしょう。特にイスタンブールでは。」

-どういった人が、化学接着剤の吸引中毒者たちなのですか?
「少なくともこの町の中毒者の特徴について言えば、多くが死が身近にあることに絶望を抱いている10代の若者たちです。彼らにとって、薬物は家の代わりなのです。だから、薬物以外のほとんど全てのものを遮断してしまいます。あちらこちらで受ける無常な扱いに傷つき、困惑しながら、イスタンブールの中心地をヨロヨロとさ迷い過ごしているわけです。」

-他にはどんなグループがありますか?
「いつの時代にもいわゆる「放浪者」と呼ばれる者がいて、彼らはある意味ではオルタネティブなライフスタイルを体現する、ニューエイジ・ヒッピーの先駆け的な存在といえましょう。似非アナーキストや、放浪志願者たちのヒーローでもあるのです。しかし、実際一般の放浪者は、日中どこにでも現れるし、寝袋の2倍は暖かいであろう7枚ものコートを着込んでいるのに、コートの下には下着をつけていないといったところです。また、男性であっても女性であっても、駐車した車と車の間で排泄し、それでも社会の規準から大きく踏み外れることなく、郵便配達夫よりも時間に正確だったりするのです。化学接着剤の吸引中毒者たちと同じように浮浪者にも人気者はいて、薄汚い愉快な道化者として、バーや小さな店で働く人たちから、わずかな酒やタバコの施しを受けています。社会の大半の彼らに対する反応は、嫌悪か、面白がるか、無視のいずれかですね。」

-何がホームレスとなる一番大きな原因でしょうか?
「おそらく家庭内の争いです。」

-確かに子供に深刻な影響を与えますよね。
「離婚、暴力、性的虐待、経済力の低さは、子供たちにどこかに平穏な居所を求めさせる必然性を与えます。だから、彼らはストリートに逃げ出し、そして、ほとんどの場合利用されることになってしまう。多くの場合、売春をさせられるか、組織ぐるみの物乞いのコマとして使われてしまうんですよ。」

-そういったストリートの犠牲者たちを助けるための、何か試みがありますか?
「いいえ。でも、「チルドレン・オブ・ホープ」のように、家を建てるためや、保険や教育のための資金を支援しているグループがあります。しかし、もっと違った側面-政府や経済界からの支援が必要だと思います。」

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