化学が発達していろいろな薬が工場で作られるようになる前は、どの国の人も薬草を使って病気を治してきました。そのような薬草を集めた植物園のことを薬草園と呼びます。大きな大学病院や薬の研究所には今も薬草園があります。「薬草園」を英語に直すと「ハーブガーデン」になります。たとえば、有名な小石川薬草園は英語でいうと「コイシカワ・ハーブガーデン」です。ハーブは香りを楽しんだり料理に使ったりするよりも、薬として使われていた歴史のほうがずっと長いのです。
ヨーロッパの子供たちが風邪ぎみのときに、「これを飲みなさい」とお母さんに言われるのがカモマイル(カモミールともいいます)のハーブティーです。
カモマイルの花をポットに一つまみ入れて熱湯を注ぎます。ふだんは、お湯を入れて3分ぐらいの香りが良い黄色のお茶を楽しみます。でも、風邪をひいたときには5分ぐらい待って、茶色になったお茶を飲みます。濃いのでちょっと苦いですが、これが風邪にとても良く効くのです。寝る前にコップ1杯飲んだら早めに布団に入ります。
実は、カモマイルを風邪薬にしていたのはヨーロッパだけではないのです。中国では「カミツレ」という名前で漢方薬として使われ、古くから日本でも薬として認められてきました。ですから、カモマイルのハーブティーがデパートやスーパーで買えるようになったのは20年ぐらい前のことで、それまでは薬局でしか手に入れることができなかったのです。
カモマイルには2種類ありますが、ジャーマン・カモマイルの花はリンゴの香りがします。とても育てやすいので、園芸店で種を買って育ててみてはどうでしょうか。

カモマイル


いろいろな地域のハーブガーデンの農場長を10年間つとめました。
今は、老人ホームなどで、ハーブの栽培(さいばい)や利用を教(おし)えています。
千葉、茨城、熱海のハーブガーデンの設計(せっけい)をして、作ったり、ショップも運営(うんえい)したりしました。
あたたかな千葉、冬が厳(きび)しい茨城、海のそばの熱海など、ハーブはそれぞれの場所に適した種類があることがわかりました。ハーブガーデンで売る製品(ゼリー、羊かん、カステラ)なども作ってきました。

児玉さんは、園芸療法(えんげいりょうほう)の本を作っています。
ホームページはこちらです。http://members.jcom.home.ne.jp/y.ko/