『サンザシの花が満開です』

 我が家の玄関近くに植えている『サンザシ』の花の季節を迎えました。
 前の道路を通る人から、よく『この花はなんという名前なのですか』と尋ねられます。その度に『サンザシという花ですよ。名前は知っている人が多いのですが、このあたりではなかなか見ることができないようですよ』とちょっと自慢げに応えるのが、この季節の恒例になっています。

 俳句の季語になっているわりには、この『サンザシ』は不思議に見かけることがありません。以前、小学校の国語の教科書にも紹介されていましたので、ぜひお目にかかりたいと思ってずいぶん各地の植木市をまわったのですが、見つけられませんでした。
 五月の連休に開かれる『池上本門寺の植木市』はかなり知られており、たいがいの樹木は見つかるのですが、この『サンザシ』だけはありませんので、私にとってこの花は幻だと諦めかけていたのですが・・・。

 ある年の連休の頃『カイコの卵』をいただきに、沼津の『片倉製糸』(『片倉製糸』という会社は、教科書にもよくでてくる、富国強兵で有名な官営の『富岡製糸工場』と同じように、八王子の片倉につくられた企業)という会社を訪れた時『片倉生糸まつり』というイベントにぶつかりました。
 そのお祭りの一環として植木市も開かれており、そこで偶然本物の『サンザシ』に出会うことができたのです。樹の高さはほんの30cm程度の幼木でした。

 その日のうちにわが家の玄関わきに落ち着いたこの『サンザシ』は、すくすくと成長して数年後には、毎年連休の頃になると梅に似た可憐な花を咲かし私を楽しませてくれるようになりました。しかもこの樹は秋には小さくて真っ赤な果実をプレゼントしてくれます。
 数年前、私の研究室の増築で移植したところ2年ほど元気がなく、一時は枯れるのではと心配し増したが、その後すっかり元の元気な姿を取り戻し、今年も白い野ばらに似た花を咲かせてくれているという次第です。

 多くの国で『サンザシ』のことを『トゲ』或いは『トゲのある』という意味の名前が付いて、ドイツでは『白いトゲ』、イギリスではただ単に『トゲ』などと呼ばれているそうです。そのために『サンザシ』は生け垣として広く利用されているとのこと、そういえば教科書に出てくるサンザシは、中世の騎士の話の中だったことを思い出しました。
 私の愛用している朝日新聞社発行の『世界の植物』という本で調べたところ、この樹は中国原産の落葉低木で、主に薬用として亨保19年(1734)に渡来したという記録があります。果実が漢方薬として健胃・整腸の目的に用いられ、魚や肉類の消化を助けるはたらきもあるとのことです。
 中華料理の食後のデザ−トではこの果実の砂糖漬けがでることがありますが、これも中国の知恵の一つに違いありません。なるほど、この果実で作る『サンザシ酒』が人気があるのが納得できます。

 今年の秋も恒例になっている『サンザシ酒』を作ることができそうです。(杉)