5. 海に重油が流れ出す事故がありますが、重油が流れた海にいる生物にはどういう影響(えいきょう)があるのですか。重油を取り除けば海は元通りになるのですか。(酒井美穂・中三)

石油、重油流出事故は、海の生物にも大きな被害をもたらします。実験例ですが、4リットル(ペットボトル数本分)の石油は、数十時間後には、非常に薄い膜(まく)になって数平方キロメートルに広がっていきます。東京ドームの約1,000倍分の計算になります。時間がたつにつれてタール状(べとべととした、もちの様な黒い塊)となり、オイルボールとなって海中に沈んだり、沿岸(えんがん)に打ち上げられます。これが、海岸の生物に付着すると酸素呼吸(さんそこきゅう)ができなくなったり、海鳥などは飛べなくなるなど大きな被害が出ます。また、石油、重油流出事故の回収作業は困難を極めます。ジェット水流での洗浄(せんじょう)や微生物(びせいぶつ)を用いた石油の分解(ぶんかい)が試みられていますが、完全に回収することはできないのが現状です。
(東京農業大学生物産業学部生物生産学科教授 鈴木敦志)

【参考文献】
水産生物の遺伝と育種 日本水産学会編 恒星社恒星閣 1979年4月
海の働きと海洋汚染  原島 省・功刀正行著 裳華房 1997年4月
生態系と地球環境のしくみ 大石正道著 日本実業出版社 1999年4月
岩波理化学辞典 第4版 1993年6月


4. 湧き水の味は、場所によって変わるのですか?森の木の種類とかに関係ありますか?(橋本たけし・中一)

湧き水や地下水は、その水がたどってくる途中で溶けた物質、主に岩石や土砂の成分(ミネラル)などによって味も異なります。したがって、水の味は、湧き水をもたらす森の土壌に関係があります。森の木は、土壌により影響をうけるという意味で、森の木とも無関係ではないといえます。
((財)地球温暖化研究開発センター長 近藤洋輝先生)


3. 海が満ちたり引いたりするのはなぜですか?(中村真里奈・小五)

海の水は、地球の自転による遠心力、月からの引力、太陽からの引力を受けています。とくに、月の引力と、自転の遠心力によって、海水が月に面したところとその地球の反対側のところで、地球の外側に向かって引っ張られて膨らみます。そのため、逆にへこむところも出てきます。このため、地球が1日一回自転するあいだに、同じところで観察すると、1日2回満ち潮(膨らむとき)になったり引き潮(へこむとき)になったりします。
((財)地球温暖化研究開発センター長 近藤洋輝先生)





2. 川と海はつながっているのに、海の水はなんでしおからいの?川はしおからくないのに。(水野広大・小五)

海の水が蒸発して雲のもとになります。このとき、塩分は海に残り、水分だけが蒸発します。煮詰めたお味噌汁が塩辛くなるのと同じです。雲のもとになった水分は雨や雪になって地面に落ちます。その水は川となって海まで下る間にいろいろな成分を運びます。その中の塩分は海へ貯まります。海の水が蒸発するときにはまた水分だけが空へ運ばれ、川を通って海へ下ります。海の塩分は蒸発しないので、塩辛いままです。
((財)地球温暖化研究開発センター 福田和代先生)


1. 海の水って、減ったり増えたりするの?(千葉ひろし・小二)

海の水は、蒸発して雲になり、雨や雪になって地上に落ち、それがまた、川となって海に注ぎます。ですから、全体としては、バランスしていて、増減は、小さな変動を除いて、基本的にありません。
((財)地球温暖化研究開発センター長 近藤洋輝先生)


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