身近な木々のことを知ることからはじめよう

お父さんと一緒に木の観察をする様子。
(豊島区立駒込東公園にて)
サクラの木にしゅろ縄で結び付けられた廃材を
再加工したプレート。 裏に「さっちゃん」と
ニックネームが記されている。

  3月19日(日)13時。ものすごい強風の中、豊島区立駒込東公園にエコとしま2006プロジェクトのみなさんが集合。”木に名前をつけちゃおう!大作戦”を開催しました。代表の和田享三(わだ きょうぞう)さんは、「木は地球温暖化を防いだり、空気をきれいにしたりする大切な働きをしています。夏、木陰に入るとほっとしたりします。しかし、最近、落ち葉がじゃまだという苦情や木を切ってほしいという要望が区に寄せられたりします。もっと木の重要さを知り、木々を大切にすることが必要だと思い、まず自分たちの身近な公園の木々と親しむ機会を作りたいと考えました。」と話してくれました。 そして誕生したのが、”木に名前をつけちゃおう!大作戦”。参加者それぞれが公園の中から木を選び、観察し、木肌にふれ、名札とあだ名をつけちゃおう、という楽しい作戦です。

この木はさくらのおかあさんみたい
 参加者は駒込東公園の近くに住む人たち、公園に遊びにきた親子連れや若者たちも加わり、強風にふきとばされそうになりながら自分の好きな木に名札をつけました。
  公園には戦後まもなく植樹された桜の木が多く、うっすらとピンク色のつぼみをふくらませていました。開花したそれははそれはきれいなことでしょう。参加者の一人が「この木はまるでさくらのおかあさんみたい」といいながら、ひときわふっくらとした幹の桜に、名札をかけていました。裏には「みんなが、みんなが、まっている」と書かれていました。さらに「桜が葉をおとしたときにひときわかわいい赤い実をたくさんつけてくれるから
、だいすきなの」といいながら、イイキリにも名札をかけていました。5才の女の子はサクラに「さっちゃん」と名づけました。そのお子さんのお母さんは「もうすぐお友だちとここにお花見にくるので、このサクラにしたみたい」(つまり、目立つところに生えているサクラ)と笑っていました。他にもトウカエデに「とかで」、モチノキに「じゃらじゃら」、ヒムロに「ひむちゃん」、エンジュに「ソーメイ」、イヌマキに「まるちゃん」、ヒノキに「ヒッキー」などさまざまな名前がつけられました。木も新しい名札をかけられて、喜んでいるように見えました。

名前をつけたとたん、私と木は、とくべつな友だちになる

名札をつけた後は、友達になった木と
一緒にポラロイドカメラで記念撮影。
お母さんと一緒に”ハイ、チーズ”
 何本もある木の中から選んだ1本の木。さわってみると、木肌はガサガサ。あたたかい感じ。この木に決めた。名前をつけてみる。そのとたん!その木は、もう特別な私の木になってしまうから不思議です。メンバーの紫垣敬子(しがき たかこ)さんも「参加した子どもたちは、選んだ木をその後も観察したり、気にかけたりしてくれているようです。」と話してくれました。まず、身近なところにある木と友だちになって、その木に声をかけたり、変化を観察したりして、つきあっていると、きっとその木はその人になにかを伝えてくれると思います。人と自然のコミュニケーションが生まれます。1本の木を大切にする人は、自然を大切にするやさしい人になります。落ち葉がじゃまだから木を切ってくださいという人にはならないでしょう。エコとしま2006プロジェクトのみなさんの活動とNPO PLANT A TREE PLANT LOVE のHANDINHANDはハートの部分でつながっているように感じました。


■エコとしま2006プロジェクトとは。
  同プロジェクトは、03年、04年度に区が実施した区立公園の樹木調査に参加した人たちが中心になり、スタートさせました。「豊島区の豊かな環境街づくりを考え、地域に提言し、推進することをもくてきに活動している市民団体」です。みどり・街並景観・水辺と生き物・資源エネルギーの4つのグループで活動し、月1回の定例会で情報交換をしています。 ‘木に名前をつけちゃおう!大作戦’を実施しているのは、みどりグループ。公園の樹木に名札がまったくなかったことから、木の名前を知ってもらうことから、身近な環境に関心をもってもらおうと、区に提案して許可をもらいました。1回目は2004年8月22日(日)。公園緑地課との協働事業の一環として上池袋さくら公園にて、子どもたちと公園の樹木に名札をつけました。参加者には「地球を守る樹木の働き」についてやさしく解説した資料も渡します。木につける札はお風呂やさんの端材を加工し、樹皮を傷つけないようにしゅろ縄で木に取り付けます。原則的に活動は月1回。すでに公園12箇所、小学校3校で実施しましたが、メンバーは60ある区立公園すべてに名札をつけようとがんばっています。  
              

事前に、木を管理するための地図と木の位置を確認しながら、木に札をつけていく相場(あいば)先生(写真右側)。
急な斜面をトントンと、軽快にかけあがる。

参加者のお子さんにやさしくウバメガシのことを話してあげる、今回の主催者、和田享三(わだ きょうぞう)さん(右)。
ちなみに、この木の名前の由来は、春先の若芽がはじめ焦げ茶色をしており、姥(おばあさん)や馬の目の色に似ていることから名付けられた。備長炭の材料として有名。