DISCOVER JUBAN   麻布十番再発見  ─ 15 ─  街路樹−1−

 麻布十番商店街は昭和58年(1983)に東京都モデル商店街の指定を受け、商店街の近代化に取り組みました。緑豊かな街づくりをめざして 昭和61年(1986)には多目的広場「パティオ十番」を完成、平成3年(1991)にはアーケードを撤去し、街路樹を植え、歩道にセラミックタイル、車道に石畳、街路灯も十番らしいデザインのものにと改修を行ってきました。歩道のタイルも岐阜県多治見市の工場を訪ねて、その色や敷き方を見てきました。街路樹もブロックごとに異なった種類の樹を植栽することで、季節毎に異なった趣の緑が楽しめように検討を重ねました。十番通り、雑式通りに植栽された街路樹は、カツラ、クスノキ、コブシ、ヤマボウシ、ハナミズキ、モミジバフウ、ケヤキ、トチノキの八種類、その他一の橋のバス通りにはイチョウ、新一の橋付近にはヤナギ、環三通りにハナミズキが植えられています。 さぁ、どこにどの樹が・・・。街の木々には気もとめることもなく見過ごしている方がほとんどだと思います。今度お買い物の時には街路樹を見ながら歩いてみてください。お車に気をつけて。
 パティオ十番には六本のケヤキの木と両サイドの歩道に四本のトチノキが植栽されています。今新緑のケヤキの木も秋には紅葉、そして落葉をくりかえし二十余年の年輪を重ねているのですね。ケヤキは高さ30mを越えることもある落葉性の高木。本州以南の日本各地、朝鮮 半島・中国各地・台湾等に分布しています。枝はほうき状に広がって美しく、都市公園や街路樹などに広く植栽されています。
 トチノキは、天狗の団扇と呼びたくなるような掌状に分かれた大きな葉です。ヨーロッパのマロニエと同じ仲間なので、そのイメージからか近年、街路樹に植栽されることが多くなった木です。北側(ラ・ボエム側)の 二本と南側(フクヤ化粧品店側)の二本の大きさが極端にちがいます。何故か北側のトチノキは二本とも枯れて今は植え替えられた二代目です。
 ハナミズキは港区の木に指定されている木ですが、原産はアメリカです。明治42年(1909)から数年にわたって、当時の東京市長尾崎行雄がアメリカに桜の苗木を贈りました。ワシントンD.C. ポトマック河畔の桜並木がそれです。その返礼として大正4年(1915)にアメリカから東京市に贈られたのがハナミズキです。日米親善の木として、そのときの原木は今も日比谷公園に残っているそうです。
 ヤマボウシはハナミズキと同じミズキ科ヤマボウシ属です。ハナミズキとよく似た花(正確には花ではなく苞)が咲きますが、ヤマボウシは展葉した後に花開くのにくらべ、ハナミズキは開花が先です。また、花のように見える総苞片の先端がハナミズキはくぼんでいますが、ヤマボウシの苞は先がとがっています。和名は「山法師」で、白い総苞が白いずきんをかぶった山法師を連想することから付けられました。秋には赤いイチゴを連想させるような果実ができ、甘くて食べられます。開花時期もハナミズキは4〜5月、ヤマボウシは5〜6月とずれがあり、それだけ長く花を楽しむことが出来ますね。
 今月は四種類の街路樹を紹介してみました。緑豊かな商店街、あらためて木々を見つめてみては。

2009.5.4.
NPO PTPL麻布支局長 山本 仁壽