長野県池田町の高原に残る、樹齢約二百年の「かえで」の木。
「かえで二十四節気」は、そのかえでを案内役として二十四節気を一年半定点観測をし、さらに北海道から屋久島まで、五年余の歳月をかけて制作された日本をめぐる季節の表情を記録した映像作品です。
約三十六分の映像は、高い品質の映像と加賀美幸子さんのナレーションによって、すばらしい出来映えの作品となりました。

主役は、一本のかえでの木。この木には数奇な運命があった。
敗戦後の昭和二十二年、林だった高原一帯に開拓団が入植した。林を切り払って農場にしようというのだ。食糧難が頂点の時代だった。かえでも他の木々もろとも切り倒されてしまった。若い木はみな根を掘り起こされたが、このかえでだけは切り株のまま残された。
農場計画は失敗し開拓団は去っていった。放置された一帯を購入したのが森延太郎さんだ。持ち主となった森さんはかえでを大切に見守り、、腐葉土を施すなど手塩にかけて育てた。いま、大峰高原の名物となったなかえでは、こうして生き残ったのだ。