ホップ Hop
Cymbopogon citratus


名前と特徴
くわ科の雌雄異株の蔓性の植物で学名のHumulusはホップが蔓を伸ばして地面をはうように伸びる状態を表現し、lupulusは起源一世紀のハーバリストのプリニウスにより、lupus salictarius(willow wolf柳の狼)…羊を食べる狼のように柳に絡みつくと呼ばれたことがその由来です。ホップの特徴はまさにその蔓。稜線に登はん毛がはえており、六角形をしており、スピートで伸びていきます。育てるとその蔓の旺盛な勢いに圧倒され、学名の意味がよく理解できます。


ホップは多年生草本で冷涼な気候を好みます。冬の寒さを経験した後の4月になると、すでに秋に根元に出来ていた芽が伸び始めます。まずは主蔓がスピードで伸びていきます。やがて側枝が伸び始め、葉も開いてきます。葉は節ごとに対生します。

私は松戸在住ですが6月から7月頃に花が咲き始めます。雌花は雌しべ(柱頭)がたくさん付いた形となり、柱頭が枯れてから苞が伸びて写真のような緑色の毬花となります。雄花の場合はまばらに咲いて毬花の状態にはなりませんので、苗を買う時は雌花を選ぶと良いでしょう。



雌花は毬花の状態になる。
小さな緑のマツカサのようだ。

手作りのトレリスを伝わり
蔓がグングンと伸びて、
夏には見事な状態になった
我が家のホップ。


原産地と栽培
紀元前の昔から西アジアやヨーロッパ一帯の山野に見られるもので、北半球の温帯地方が原産地といわれていますが、場所は特定されていません。

ホップはビールのために大規模栽培がされていて、その国の数はおよそ32か国といわれ、アメリカ、中国、ドイツ、イギリスなどでその数も変化しています。

日本でしたら北海道や長野県、東北地方が知られています。

薬効と楽しみ方
毬花の苞の基部に黄色いものが付き、これが精油と苦味樹脂が含まれるルプリンです。収穫する時期は花が咲いておよそ40〜45日で、その時期ルプリンが成熟します。薬効として鎮静、利尿、芳香性苦味健胃作用があるといわれます。

他には苞の部分にタンニン(ポリフェノール)が含まれます。

ホップというとビールが連想される程、二つの結び付きは密接です。ホップはビールの腐敗を防ぎ、ほのかな苦みを与え、にごりを押さえる作用があるといわれます。

しかしドイツでも「純粋なビールに使用されるのはホップ」と決まったのは16世紀始めのこと。イギリスでもコストマリー、グランドアイビー、ヤロウ、ローズマリー、セージなどが使用されていて、ホップが使用されるまでには賛否両論があったようで、それは17世紀末ても続き、後にホップで醸造されたものはビールと呼び、その他古来より使用されていたもので作られるものはエールと呼び、区別がつけられるようになりました。

日本ではビールは酒税法改正により現在個人でも作ることが出来るため(味はともかく)、今後そうした方も増えることでしょう。

しかしもっと手軽な利用法は乾燥した毬花をパン種発酵に使ったり、ハーブ・ティーで楽しむことです。ハーブ・ティーは穏やかな鎮静効果と強壮作用を期待出来ます。柔らかな芽や葉や蕾をゆでたり蒸したりして食べる人もいます。

またルプリンが眠気をさそうものとして、乾燥した毬花をハーブ・ピローに入れますが、日にちの経過とともに悪臭に変化しますので、そうなったら染色に使用したり肥料とてお使い下さい。

家で栽培すると一番美しい時に蔓ごと収穫してそのままフラワー・アレンジに使ったり、まるめてリースを作る事もできて楽しいです。なお蔓の部分にはえている登はん毛はトゲのようにするどく、手や顔、首筋などを傷つけますのでご注意下さい。

育て方
日当たりと風通しの良い場所を好みます。肥沃で有機質にとんだ水はけの良い土を深く耕し苗を植え付けますが、蔓の成長期と花が咲く時には十分水を与えて下さい。

翌春まだ芽が動く前に、株の上の土を丁寧に脇によけてから、いらない芽をかいたり、枯れた蔓を切ったりの手入れをします。周りを中耕して完熟堆肥なども与えると良いでしょう。

ホップの繁殖方法は挿し木も可能ですし、蔓の基部や地下茎を使う事も出来ます。


参考文献
■『ハーブ大百科』 デニ・バウン著 1997年 誠文堂新光社
■『原色牧野和漢薬草大圖鑑』 1988年 北隆館
■『桐原春子のエンジョイ・ハーブ』 2001年 誠文堂新光社

写真・文

桐原春子(ハーブ研究家)

桐原春子オリジナルホームページ
http://www.geocities.jp/haru87herb/

桐原春子さんのビデオはPLANT A TREE〜SHOPPINGでお買い求めいただくことができます。

1.セージ 2.ラヴェンダー 3.ミント 4.センティッド・ゼラニウム
5.ローズマリー 6.アカンサス 7.ハウスリーク 8.コモン・タイム
9.アポセカリズ・ローズ 10.ボリジ 11.ライム 12.ジャパニーズ
ハニーサックル
13.コーンフラワー 14.レモングラス 15.ホップ 16.マートル
17.カルダモン 18.ナスタチウム 19.キャロブ 20.スイート・バジル
21.セイクリッド・ボー・ツリー 22.デージー 23.アロエ・ヴェラ 24.チャーヴィル
25.カレー・リーフ 26.イランイラン 27.アガヴェ 28.サントリナ