50cm程に生長する。刈り込むと密に茂る。こんな木の形で近頃園芸店で売られるようになった。この寄せ植えは我が家のもの。

〜今月のハーブ〜
Santolina サントリナ
Santolina chamaecyparissus L.

名前
サントリナ、ラヴェンダー・コットン、コットン・ラヴェンダーなどといいます。日本名はワタスギギク(綿杉菊)です。杉の葉に似ている葉が綿毛で覆われている状態から付いた名前です。


夏から秋の始めに黄色の丸い花が咲く。

特長
キク科の木本です。
学名の種小名はその特徴をあらわしますが、 ChamaecyparissusはChamai(低い)と、cyparissos(イトスギ)が合体した語句です。
葉は常緑で綿毛でおおわれたようなシルバー・グレーで3cmほどの長さがあり、丸みのある1,5mmほどのきょ歯は規則正しく傾いています。刈り込みするといっそう密になるために、丸い状態に刈り込んだり、縁取りに使ったり、ノット・ガーデンで模様のように使われます。
夏から秋の始めに丸い黄色の花が咲き、頭状花序となります。
50cmほどに生長して、葉の色のために、木全体が白っぽく見えます。


原産地とその広がり、歴史
アルバニアからスペインにかけてが原産地で、日当たり良く風通しも良い、水はけの良い場所を好むハーブです。耐寒性があります。
プリニウス(23〜79年)はその著書『博物誌』の中で「ブドウ酒で服用することにより、あらゆるヘビやサソリの毒に対する強力な解毒剤になる」と述べています。
サントリナは16世紀に原産地よりの移動が始まり広がりました。それはルネッサンス時代、園芸復興の気運が高まり、16〜17世紀は整形式の庭が流行したからです。
王侯貴族たちはこぞって結び目模様やループ模様の庭を作り、その材料はよく刈り込みの効くサントリナなど背丈が低いハーブが使われました。館の上から見下ろしたり、一段低い場所 に作り上から見下ろすサンカン・ガーデンでは、模様がいっそうはっきりと見えました。 
ちなみにイギリスには16世紀に導入され、ノット・ガーデン作りに利用されました。
17世紀に著されたイギリスのハーバリスト、カルペパーの『英国の医師、増補版』では有毒な咬傷や寄生虫、皮膚炎を治療すると記載されています。

葉は3cm程の長さがあり、1.5mm程の丸みのあるきょ歯があり、それぞれわずかに傾き、立体的に見える。

薬効と楽しみ方
ノット・ガーデンでは刈り込みが行われますが、その小枝は乾燥の後に衣蛾避けのモスバッグに使われ、絨毯の下に入れて虫除けとしました。甘い香りがあり葉の色もきれいなために、ポプリの材料にもなります。枝ごと煮込んで染色の材料にもなります。
 1980年には消炎作用がはっきりし、軽い切り傷や咬傷や皮膚炎に外用、消化管機能改善などに使われます。またサントリナ、ローマン・カモマイル、コルツフットの乾燥したものをミックスしたものはハーブ・タバコとして利用されます。
 サントリナは蒸れと真夏の暑さに弱く下枝が枯れることがあります。しかし下から新芽が次々と出てくることも多いので、その様子をチェックし剪定などの手入れをすると良いでしょう。
 形が整いはじめ刈り込みを行う時は、春に切り詰め、秋に形を整えますが、株の状態によって臨機応変に対応して下さい。
 繁殖は夏の挿し木でおこないます。


参考文献
■『ハーブ大百科』 デニ・バウン著 1997年 誠文堂新光社
■『桐原春子のエンジョイ・ハーブ』 2001年 誠文堂新光社
■『プリニウスの博物誌』 植物薬剤編 大槻真一郎編 1994年 八坂書房

写真・文

桐原春子(ハーブ研究家)

桐原春子オリジナルホームページ
http://www.geocities.jp/haru87herb/

桐原春子さんのビデオはPLANT A TREE〜SHOPPINGでお買い求めいただくことができます。

1.セージ 2.ラヴェンダー 3.ミント 4.センティッド・ゼラニウム
5.ローズマリー 6.アカンサス 7.ハウスリーク 8.コモン・タイム
9.アポセカリズ・ローズ 10.ボリジ 11.ライム 12.ジャパニーズ
ハニーサックル
13.コーンフラワー 14.レモングラス 15.ホップ 16.マートル
17.カルダモン 18.ナスタチウム 19.キャロブ 20.スイート・バジル
21.セイクリッド・ボー・ツリー 22.デージー 23.アロエ・ヴェラ 24.チャーヴィル
25.カレー・リーフ 26.イランイラン 27.アガヴェ 28.サントリナ