アカンサスはキツネノマゴ科の多年草です。この属はおよそ20種ほどあり、葉の幅や切れ込みの深さ、背丈などが異なります。
代表的なものの一つは学名Acanthus mollis L.です。Acanthus はギリシア語のakanthosに由来し、akeはトゲでanthosは花を意味します。mollisは柔軟毛があるという意味です。
アカンサスの英名は、アカンサスの他にBear's Breech (ベアーズ・ブリーチ)やBrank Ursine (ブランク・アーサイン)があり、和名はハアザミです。
原産地は南ヨーロッパ、北アフリカ、西南アジアといわれ、日当たりと排水の良い土、温暖な気候を好みます。半日陰でも日陰(花付きは良くないけれど)でも丈夫で元気に生長します。日本には明治末期に観賞目的のために渡来しました。
アカンサスは大型の多年草で、葉は根元から生え60cm〜80cmにもなり、葉柄は太く羽状に深裂し、裂片にはあらい鋸歯があり光沢のある深い緑色をしています。
花は6〜7月の頃に咲きます。先にトゲがある、紫がかった貝殻に似た堅い萼に包まれるように、白に紫色の筋の入った唇形花が穂状花序となります。花茎は直立し分枝しないで下から咲き上がり150cmほどになり迫力があります。
根はゴボウのように多肉質で、この根を10cm程カットして埋め込むと簡単に芽がでます。
耐寒性はありますが、厳寒期に大きく茂った葉は枯れます。成分は葉と根にタンニンを含みます。
紀元1世紀に著された、プリニウスの 『博物誌・植物薬剤篇』には、「庭園と都市景観のための植物で2種類がある。」と記載され、「この根は火傷や捻挫、脱腸、痙攣、肺癆の恐れのある人に素晴らしい効能を発揮し、煮て食べることもあるが、オオムギ湯に入れることが多い。潰して温め通風に貼る。」と述べられています。
アカンサスは、現在でも民間療法として葉や根が利尿、止血、下痢止め薬として使用され、根は痙攣やヘルニアにも使われるそうです。
アカンサスは食用にはなりませんので、その姿を楽しんで頂きたいと思います。アカンサス模様が刻みこまれた鉢も市販されていますので、そんな鉢に植え込むのも楽しみです。
葉と花は大きなフラワー・アレンジの時にありがたい存在ですが、生の花は強烈な匂いがしますので置く場所にご注意を。葉は染色に使えます。
アカンサスは古代ギリシアの時代より彫刻師や彫金師の芸術のインスピレーションの元になったり、様々な美術そして工芸のモチーフにされてきました。よく知られているのは、紀元前5世紀のギリシアの建築家そして彫刻師のカリマカスが考えたといわれる、コリント式建築の円柱頭の飾りや、イギリスのヴィクトリアン女王時代にアーツ&クラフト運動をした、ウイリアム・モリスのアカンサスの葉のテキスタイルです。
なおカリマカスのアカンサスは下にあげたディスコリデス以外の3種のいずれか説が分かれているようです。
アカンサスのいろいろ(栽培条件により記載通りとは限りません)
A.dioscoridis (ディオスコリデス)
1m程に生長し45cm程の株張りの深裂した卵形の堅い葉と茎の有毛。 半匍匐性で濃い青紫の花。
A.latifolius Vilm
葉の幅が広く、深裂せず1m80cm程の花茎となる。
A.longifolius Poiir. (異 A.hungaricus)
60cmから1mほどに生長し、株張りが1m程。
A.spinosus L.
1m30cm程に生長し、株張りが60cm以上になる。アーチ形のアザミの葉によく似た、深い切れ込みのある葉の先端が尖る。
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車庫の上からたれている中心の葉 |
晩秋照り輝く葉 |
葉を2枚ならべてみました |