タイムには大きく分けて今回取り上げた、木が直立するCommonThyme系{T.vulgarisが主で他にT.pulegioides(ブロードリーフ・タイム)T.nitidus、T.odoratissimusなど}と、這うように生長するcreeping thyme系{T.serpyllum(ワイルド・タイム、クリーピング・タイム、マザーズ・タイム)が主で他にT.praecox(クリーピング・タイム、ワイルド・タイム)、T.doerfleri、T.pseudolanuginosus、T.caespititius など)}があり、それらの園芸品種(T.serpyllum´Aureus´葉が黄色)もたくさんあります。T.pulegioidesとT.vulgarisが交配して作られたThymus×citriodorus(レモン・タイム)のような交配種もあります。
歴史・伝承
今はすっかりおなじみのコモン・タイムですが、起源1世紀に著された『プリニウス博物誌』には、目がはっきり見える様にする効果や慢性的な咳にきく酢と塩を加えた舐剤、酢に入れ蜂蜜を加えたものは精神異常と憂鬱症の患者にも飲み薬とて与えられるという様に具体的な薬としての使い方が述べられています。ただしこの時代のタイムは、一般的にCoridothymus capitatus ,Satureja thymbra ,Thymus vulgarisと考えられており、古代人の好んだのはT.capitatusという説もあります。
十字軍の時代には北ヨーロッパでは、タイムは勇気の象徴とされ、騎士の肩帯にはタイムの小枝にとまった蜜蜂の絵柄が刺繍されたものでした。
16世紀のイギリスのハーバリスト、ジョン・ジェラードはガーデン・タイムの章で4種類取り上げ、咳や息切れ、メランコリーやヒポコンテリー他に効くことや、肺や子宮をきれいにすること、利尿効果のあること、失神した時にかがせると良いことなどを述べています。
聖母マリアのしとねに使われたという言い伝えもあります。
特徴
シソ科の亜低木で、350種類程あるThymus属のうちの一つです。
高さは30cm程に生長し、茎は若いものは柔らかく、やがて木質化します。線形または楕円形の全縁の小さな葉は肉厚で対生しています。花は頂生した花序に小さな唇形花を輪散花序にたくさんつけます。初夏に主に咲きますが、晩秋までちらほらと咲いています。色は白に近いライラック色で環境によって多少の変化があります。全草さわると強い芳香があります。
薬効
精油には主にチモールが含まれ他にはボルネオール、カルバクロール、リナロール、シメンなど多くが含まれます。
これらの成分により、防腐作用、殺菌作用、興奮・強壮作用がありますので、神経系統や循環器系統の衰弱にはよく、鎮痙作用がありますので咳や喘息、不眠症にも効きます。気管支炎などの呼吸器の障害にも良いといわれます。これらはハーブ・ティーで飲む方法や手浴・足浴する方法などがあります。
栽培
日当たりが大好きです。そのうえ水はけが良く風通しの良い場所でないと上手く育ちません。
私の庭では少し土を盛ってタイムいろいろを直植えしている方法と、鉢植えでの方法を行っていますが、鉢植えの方が元気で長生きしています。一番弱いのは梅雨の後の高温多湿の時期で、このころ蒸れて枯れてしまうことがあります。そのため、花後の剪定や、枝をすかすようにして刈り込みを行う必要性を実感します。
繁殖は種蒔き、株分け、挿し木、取り木によります。
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イギリスのウィズリー・
ガーデンにて
(コモン・タイム) |
イギリスの湖水地方にある
セレット・ホールにて
(タイムの小道) |
黄色の葉が鮮やか
(T.serpyllum´Aureus´) |
楽しみ方
乾燥または生のままで料理に使います。オイルやヴィネガーの香り付けもできます。ティーにもよく、ポプリやリースなどのクラフトも楽しいものです。ハーブ・ピローにはラヴェンダーやホップなどとミックスしたら良いでしょう。染色も媒染剤を使うことにより、様々なアースラーを楽しめます。