白石農園を訪れて

 東京都練馬区白石農園の白石好孝さん(左の写真)は、農業と消費の接点を作っていくことが大事だと考え、農業を理解してもらうきっかけになればと、人との関わり合いを畑の中で築いている。

 きっかけは、何をどう作ったら儲かるかということばかりにとらわれていることに、殺伐とした悲しみを感じたことであった。また、自分の好きなことや、楽しいことは、畑の外にあるのではない。自分の農業の中で、できるのではないかと思ったことであったと白石さんは語る。そして、白石さんの座右の銘である"感動の共有"を畑の中で求め始めた。

 それは、学生時代のサークル活動など、人と一緒に何かをやることが楽しく、おもしろいと感じ、また、人を呼びたい、自分の畑には何か呼べるものがあると思う、人が大好きな白石さんの自然な姿であると私は思った。白石さんが一番輝くのは、野菜だけの畑ではなく、野菜と仲間がいる畑の中であろう。

 白石さんは、今の社会では経済−生産と消費の間−にぬくもりを感じないことが多い。でも、自分は、人と人とがつながりながら、心を伝えあうようなぬくもりを作り、大事にして携わっていきたいと言う。だから、子供たちに自分たちが食べている野菜が、どのようにしてできるかを教えるのは親切心というよりも、経営の一手段だと考えていると話す。私は、一般に「経営」といった場合に感じる、冷たさを白石さんの中には感じなかった。むしろ、温かみのある、そして白石さんにとって真っ直ぐな手法だと思った。

 現在、白石農園は、給食へ野菜供給をする畑、子供が農を学ぶ場、大人が農を楽しむ体験農園、精神障害者の社会とのつながりの場、コンサート会場等など、様々な顔を持っている。

 今後は、体験農園をNPO化して、全国に広めてより多くの人の心を潤わせたい。また、教育の中での農業の役割を伝えていきたい。現場の、実践の情報を伝えることが自分のライフワークであると語ってくれた。

 「生活ができる程度に稼げたら、後はライフワーク のために使いたいんだよね。こうやって、人に言っちゃ えばさ、やらなきゃなんないでしょ。だから、言うこと にしてる。楽しんで納得のいく人生にしたいね。楽しい 農業・楽しい暮らしをしたいな。」とニコニコと言う 白石さんは、生き生きとしていた。