| 1. 富士山に初めて登った女性は男装していた!? |
2005年、興味深い事件が起きた。
1300年にわたり女人禁制が続く、修験道の聖地・大峰山(奈良県)へ、性同一性障害を持つ人びとのグループが登山に訪れた。しかし女性の立ち入りは禁じられていると、地元住民ともめてしまう。一度は話し合いの場を持つということで解散となったが、その後、メンバーのうちの3人が登山を強行、結界を破って山頂まで行ってしまったというのだ。
「結界」などと言うと、数百年以上も前の話のように感じられるが、つい数年前に起きた事件だ。
この大峰山同様、女人禁制の山は昔から数多く存在している。霊峰・富士もまた、そのひとつだ。
富士山は1900年代半ばまで女人禁制の風習が続いていた。江戸時代には、女性は吉田口登山道の2合目にある、御室浅間神社で足止めされた。たとえ夫婦で来ていても、妻だけがそこにとどまり、神社で夫の下山を待たなければならなかったのだ。そのために、神社東南1キロには「女人天拝所」が設けられていた。
だがそんな女人禁制が続いていた1832年(天保3)年、1人の女性が富士山の登頂に初めて成功した。
この女性の名は高山たつ。当時25歳。
しかし何度も述べているように、富士山は当時女人禁制の山。たつはどうやって登頂したのかというと、何と男装をして富士講行者に紛れ込んだのである。また、登山者の多い夏を避け、登頂の限界である10月下旬に頂上を目指している。そこまでしてたどり着いてみたかった富士山の頂には、相当に心を惹きついけるものがあったということだろう。
だが、彼女の「高山たつ」という名前、女性初の登頂者という記念に残る名前にしては、できすぎてはいないだろうか。
(株式会社彩図社「富士山」99の謎より)
逸話27「富士山(3)―大噴火とその後の富士 」の“女人禁制を打ち破って富士山に登頂した女性”を参照のこと。
