「富士山」逸話あれこれ

21. 富士山の標高3776メートルを決める基準はどこに?                                              

 

 日本全土の地形図を眺めていると、等高線にしたがって、平地をあらわす緑が高原にいくにつれて黄色から薄茶色へ、山脈をあらわす濃い茶色へ変化していくさまが、曲線で描き出されている。
 そのいちばん濃い茶色の中心に、黒い三角印とともに3776の数字がある。富士山だ。数字はこの山の標高を表している。
 標高とは海抜高度ともいい、海面からの高さのことだということはだれでも知っている。けれど海水には満潮・干潮があって、海面の位置というのは一定していない。いったいどこの海面からの高さを言うのだろうと疑問がわく。
 ちょっと興味のある人なら、何年間かの平均海水面という基準があるということも知っているかもしれない。
では、それはどこの海面か、また、いつからいつまでの平均かというと、これがかなり歴史のあるものなのだ。
 平均海面の測定は、明示6年6月から13年までの6年半をかけて、東京湾でのことである。このときに得たデータで東京・三宅坂に「水準原点」を設け、これが基準で計測されている。
 そこは、正確には東京都千代田区永田町1丁目1番地の、旧陸軍測量部跡である。今の国会議事堂正面に向かって走る車線の広い並木道路の、真ん中あたりの右手奥に「日本水準原点」があり、ロードマップなどにはこれを記載したものもある。
 この原点は、海抜24.41440メートル。ここから三角測量で富士山の海抜高度が出されているわけだ。
 もちろん日本地図の外側、何段階もの青で彩られている日本海の大和海嶺、対馬海盆や太平洋の伊豆・小笠原海溝の水深をあらわす曲線も、この原点をもとに計測されたものである

  (河出書房新社「日本地図の楽しい読み方」より

 

 

 

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