「富士山」逸話あれこれ

34. 富士山が東北地方からも見える!?

 

 不動産や宿の宣伝で、「富士山が見える部屋」という売り文句は魅力的だ。自分の住む部屋から富士山が見えたらちょっと誇らしいというものだ。
 ところで、3776メートルという高さを誇る富士山を望むことができるのは、どこまでなのだろうか。そもそも地球は丸いため、その丸みを帯びた地形が邪魔をして、そんなに遠くまで見通すことはできない。東京から夕日が沈む姿は見えるが、その沈んでいく場所は神奈川県か山梨県あたりである。つまりあんなに大きな太陽でさえも、地平線を基準にすると、100キロ程度の距離が目視できる限界なのだ。
 それを踏まえ、静岡県や山梨県、神奈川県といった近隣の県はのぞいて、富士山が見える限界を探してみよう。
 富士山が見える北限は何と東北地方。場所は福島県阿武隈山地日山(ひやま。標高1057メートル)だ。日山の山頂から富士山を撮影することに成功し、富士山が見られる北限とされた。ところがその後、日山から数キロはなれた羽山(麓山。標高897メートル)の山頂からも富士山の撮影に成功。新たな北限の記録更新と沸き立った。
 しかし、単純に記録更新とはいかなかった。というのも、緯度だけを見ると日山が北緯37度32分23秒、羽山が北緯37度33分35秒で、より北にあるのは羽山だが、富士山からの直線距離を見ると、日山が約299キロメートル、羽山が約297キロメートルと、日山のほうが遠いのだ。どちらにしろ北限が福島県であることに変わりはないから、どちらの山も誇らしいに違いない。
 一方、南限は和歌山県の妙法山(標高749メートル)。富士山からの直線距離は322・6キロメートルだ。南北の枠を取り払えば、ここが富士山の見える一番遠い場所ということになる。日本テレビの情報番組『ズームイン!!朝!』が、1999年元日、夜明けに妙法山から富士山を探したところ、確認に成功。322・6キロ離れた所から、日本一の山を拝んだのである。

(株式会社彩図社「富士山」99の謎より)

 

 

 

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