「富士山」逸話あれこれ

56. 愛媛県の山に「森」という字がつく不思議   ( 泉ガ森755mは三間富士(みまふじ)と呼ばれています。)

 

 「森」という言葉を国語辞書で引くと、「多くの樹木が茂り立っている土地」と説明されている。これは決して間違いではないが、「森」が山を意味することもある。
 愛媛県に「二(に)ノ森(もり)」という山がある。「森」の字がついていると低い山、小高い山を想像する人がいるかもしれない。ところが二ノ森は石鎚山(いしづちさん)に次ぐ、県下第2の高峰で、1929メートルもの高さがある。
 愛媛県には、このほか「瓶(かめ)ガ森」「堂(どう)ガ森」「経(きょう)ガ森」「三(みつ)ガ森」「泉(いずみ)ガ森」「譲(ゆずり)ガ葉(は)森」「明神(みょうじん)ガ森」「北三方(きたさんぽう)ガ森」「東三方ガ森」など、「森」のつく山がたくさんある。それは愛媛県だけに限ったものではない。徳島県や高知県にも「森」の字のつく山があり、東北地方にもそうした山が多い。
 「森」といえば、神社があって、木が茂り立っている土地をそう呼び、土地の鎮守(ちんじゅ)の神を祀った社(やしろ)の森は「鎮守の森(杜)」と称している。杜は神が住むところでもある。鎮守の森は集落の中や、その近くに位置している。
 昔の人々は神は高所に宿ると信じていた。山が鎮守の森となる。そこで、山を「森」と呼ぶようになったのではないかという見方がある。また山名の「森」は、朝鮮語で山を意味するモリからきているとの見方もある。
 秋田県にも「森」のつく山が多い。その中には「○○森山」のように、「森」の下に「山」がついているものがある。「森」が山を意味することが、いつの間にか忘れられて、さらに「山」という字がつけられたらしい。

(毎日新聞社刊「日本人として知っておきたい地名の話」より)

 

 

 

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