■絹谷(きぬや)富士 218.2m 福島県いわき市

絹谷(きぬや)富士は標高218.2mで別名・磐城富士とも呼ばれています。
JR平駅から石森山のフラワーセンターへ車で約15分。さらに3分くらい車を走らせると、三角状の山の頂が姿を現します。山頂近くには駐車場があり、ここから山頂まで歩いて5分くらいです。
山頂には、巨大な火山岩の固まりが空高くそびえています。駐車場にある表示板には「岩層を突き破ったような形で突出している岩は、今からおよそ2千万年前の新第3紀・中新世の日本列島の激しい火山活動の名残り」と書かれています。市は昭和52年、にこの付近を「石森海底火山塊」として市天然記念物に指定しています。
岩の上に立つと、遠方に湯ノ岳、水石山、二ッ笈山、八茎の山並みや太平洋を見渡せます。
昔、付近の学校の遠足には決まって絹谷富士へ登りました。今は林道が開設され容易に登れるようになりましたが、当時は林道もなく険しい山だったため、父兄たちは遠足が近くなると木を伐採し、子どもたちが山へ登れるよう道を作りました。
この付近の山林は、明治41年に官林の払い下げを受けました。以来、入合林野として用材、薪炭材の生産や、家畜の採草地として大きな役割を果たすなど、地元と深く関わってきました。
現在は、生活環境保全林となっています。昭和47年から国、県、市が一体となり2億4千万円を投じ、4年の歳月をかけて森林公園として整備したものです。面積約85.36ヘクタールの公園は、市民の楽しい憩いの場として利用されています。
絹谷富士へ平・草野方向から登ると、山からの水が自然にたまってできたと言われる青滝溜池があります。地元では、溜池を農耕の灌漑用水に利用してきました。
この溜池には、こんな伝説が残っています。昔、水量を調節するために利用していた自然の洞を、大蛇がふさいでしまいました。このままでは旱魃になってしまうと心配した人々が、潜水夫に依頼して大蛇を退治しました。大蛇のたたりを恐れた人々は、大蛇の供養にと一本の桜を植えたそうです。その桜は、春になると真っ赤な花が咲いたと言われています。
「青い青滝水の色 真っ赤に染まって火の柱 とうとう大蛇は死にました 死んだ大蛇の供養にと一本上氏若桜 心ありてか春来れば、花は血潮の色に咲く」という戯れ歌が今でも伝わっています。
溜池の水は、現在でも約22ヘクタールの田畑を潤していますが、水の調整は水門で行われています。
市天然記念物に指定された山頂の周辺は野鳥の楽園でもあります。 【地図】



(出典:「いわき小紀行U(いわき市市長公室 広報広聴課/現行政経営部 広報公聴課作成)」
「いわき百景(いわき市商工観光部 観光物産課作成)」より抜粋
写真:いわき市役所農林水産部 林務課 三森様)

2008年8月4日掲載