「みんなが家族 地球は我が家」
 

クリーン・ボランティア530代表 津田 政明

目の前の路上に人が倒れています。
あなたはどうしますか?
以前の私は気になりつつも素通りしていた。
アフリカでの「あの出来事」の前までは…。

 98年、私は内戦により破壊されたアフリカの小国ルワンダで、「平和再建活動」に従事していた。復興の兆しが見えてきた頃、ルワンダ人に請われて私が撮影した「日本紹介ビデオ」を上映した。「私の生活」を知りたいとのことで、我が家の周辺「新宿駅西口」の光景だった。

 高層ビル、朝のラッシュ、人々の群れ、日本の当たり前の繁華街の中に一瞬、デパートのショーウィンドウの前で、ダンボールハウスから顔を出す老ホームレスの姿が映った。 「なんだ!あんな所に寝ているのか?」

見ていた全員が、総立ちになり何度も繰り返しその場面を見た。
私は、彼はホームレスで、現在は2万人位いて大都市どこにでも見ることが出来る。と説明した。
すると、ルワンダ人の老人が押し殺した声で、静かに言った。
「お前はルワンダに来なくていい。日本に戻ってホームレスを助けなさい」

 日本に帰国して、早速新宿中央公園に行ってみると、広い芝生や木立の隙間に大勢のホームレスが生活していた。その光景は、以前活動したザイールの「難民キャンプ」を思わせた。

その日から、「ルワンダ人の忠告」に従って彼らへの「支援活動」を一人で始めた。
あれから3年、現在は週3回50名のホームレス達とゴミ拾い活動を続けている。

あまりに無関心な日本人
私は欧米で暮らし、世界80カ国を旅してきた。
先進国には「ホームレス」がいて、途上国には「貧困」がある。
いつも「底辺の生活」にひかれて、そこに暮らす人々と共に生きてきた。

 ニューヨークのハーレム、フィリピンのスラム街、アフリカの難民キャンプ どこでも笑顔で迎えてくれ最高の「もてなし」をしてくれた。そこで学んだことは、ただ一つ「みんなが家族」だということ…。

 そして、日本。
現在、2万とも3万人ともいわれる「ホームレス」が、都市を中心に全国的な拡がりをもって最低の生活を余儀なくされている。日本では、「収入」が無くなれば超特急で「路上生活」にまっしぐらだ。

 欧米では当たり前にある「シェルター」とよばれる最低限の「食とベット」を保障するシステムが日本には無いからだが、あまりに「人として生きる権利」をないがしろにしすぎていないだろうか。

 高度経済成長期の労働力として、新幹線、ビル、高速道路の建設に携わり、骨身を削って働いてこられた50代、60代の方々を「ご苦労様」と快適な生活を送っていただくことすらできないほど、私たちに「余裕」がないのだろうか。

 私はいつも一人で「自分自身でできること」から始める。 最初はお茶を配り、味噌汁になり、うどんになり、今ではおにぎりとすいとんである。 1年前炊き出しの列は300人を超えた。屋外でプロパンと寸胴なべで調理する限界だった。

「自分でできること」の範囲を明らかに超えた時、宣言をした。
「これから、周辺のゴミ拾いをする。炊き出しは参加者だけにする!」
翌朝、20人が現れた。その数に驚きもしたが、嬉しかった。

 朝、2時間の「ゴミ拾い」、最初に言い出した手前、しばらくは続けようとやっていたが、徐々にその「楽しさ」にはまっていった。

 始めた頃はあまりの「街の汚さ」に腹が立っていたが、続けるうちに「地球さん、ありがとう!」と感謝の気持ちに変わっていった。「ゴミ拾いバサミ」の先から「地球のエネルギー」が流れ込んでくるのを感じている…  そして、「地球は我が家」という感覚。

 この頃は、メンバー約50名になり、真剣にゴミ拾いを続けている。
新宿駅周辺には、1000人にも上る「ホームレス」が生活しているといわれる。その中で、このメンバー達は「役立つことをしているという誇り」と共に、群を抜いてキラキラと輝いている。彼らこそ私のかけがえの無い「財産」だ。

 これからは、農業、林業の支援活動を始める予定である。きっと彼らの「チカラ」が、日本の未来を変えてゆくに違いない。

 世界中すべての人々が、笑顔で幸せに暮らしてゆけるよう全力を尽くしてゆきたい。

平成14年7月9日 AM6:00
新宿中央公園
平成14年6月7日 AM7:30
新宿中央公園
 
平成14年6月7日 AM8:00
新宿中央公園
 
トップにもどる