「よし、たこあげだ!いくぞ!」と元気よくたこあげ隊が出発したのは、1月9日。行き先は、千葉県(ちばけん)の 九十九里(くじゅうくり)の海。ここは砂浜が長く続いていることで有名です。車で往復3時間半。たこは、海風であげると よくあがるんですって。たこあげ隊長は、夫。副が息子。1500円の強く長い糸と、460円のカイトを買い、やる気まんまん。 私とまる(しば犬)は、たこより、海に行くことがうれしくて、ついていきました。
1月の海は寒い!それでも、浜には人が10人ぐらいいました。
まるは、しおがひいたあとの浜をひっしでほりつづけ、すなだらけ。楽しそう。私も貝をたくさんひろいました。
さて、たこですが、海風にのせて一気にあげようとしたら、バランスが悪くてたちまち、ストンッ。しかし、 隊長はめげることなく、副隊長に、浜の流木の枝を集めるよういいました。そして、集めた枝をまとめてマキのようにしばり、 カイトにくくりつけました。
「えー、こんなんであがるの??」
ところが、マキをつけたヘンなかっこのカイトは、しゅるしゅると風にのり、糸がどんどんくりだされて、 あっというまに小さな空の点になってしまいました。たこの上を成田発のジェット機が飛んでいきます。 「飛行機がたこにからまる!」と思うほど、たこは空高く見え、飛行機が近くにみえました。風のものすごい音が、 びゅるびゅるとたこを伝わって聞こえています。
「わっはっは!」
隊長の笑いはとまらない。浜にいた人たちも集まってきて、「手動ですか?」「高いたこなんですか?」「なんメートルぐらい のぼってます?」といろいろきいてきました。隊長は「糸は500メートルぐらいで、角度45度。さて、高さはどのくらいでしょう?」と 問題を出しては「わからないよねー。あははは」。質問した人も、「あははは」。若い人がきて、「たこをもたせてください」と いうので、もたせてあげたとたん、「うわーっ、ひいてるー。ひいてるー」とこうふんして、大笑い。それみて、まわりの人たちも 大笑い。夫はすこしひきつった顔で、「はなさないでよー」。
さんざんたこあげを楽しんで、「さあ、帰ろう」と思い、たこをまきもどし始めたら、なんと、1時間もかかってしまいました。 それだけ高くあがっていたということですね。浜には人がいなくなり、風も冷たく、空も暗くなってきました。それでも、 「ああ、おもしろかった!あははは」と隊長と副隊長はたかわらい。いえ、たこわらい。
隊長はたこあげというと、血がさわぐようです。子どものころのワクワクドキドキがよみがえってくるのでしょう。
たこあげは、その昔、集落ごとの大人たちの競争として楽しまれていたようです。風をよみ、風と遊ぶ、そんなおもしろさが あるのですね。
「笑う門(かど)には福来たる」。笑ってくらしている人にはしあわせが来るという意味ですが、 たこをみあげて、知らない人とよく笑った1日でした。
こんなささやかな笑いがいっぱいある1年になることをねがいながら、ことしも「ひなたぼっこばなし」をよろしく!