ひなたぼっこばなし 第37話 「 苦手なこと 」

ミツバチ
カエル合唱団。
カエルのうたを歌っているところ。
(写真は3枚とも渋谷の東京都児童館で
上演したときのものです)
ミツバチの巣箱
ねずみさんになってるつもり。
服
ブタの鼻をつけて歌ったり、踊ったり。
鼻は紙コップをピンクのマジックで
ぬってゴムをつけて作りました。
   11月。5年ぶりに、家のペンキをぬりなおしました。我が家はもう50年たっています。木造で、板をたてにはってあります。こういう家も、今ではすっかりめずらしくなってしまいました。
 家の色はずっと茶色でしたが、10年前にクリーム色にしたら、すっかり若返りました。そして今回はもっと白に近いクリーム色。もっと若々しくなりました。私は木でつくった家がすきです。強い風がふくとゆれますが、家が呼吸をしているような感じがして、木のぬくもりを感じるからです。でも、あと何年住めるかなあ。

 ところで、みなさんの苦手なことはなんですか。私は人前で話したり、なにかしたりするのが大の苦手。小学六年生のとき、クラスで劇をやることになりました。私はまっさきに小道具係に手をあげました。今でもはっきりおぼえています。「バンナナととのさま」という劇。バナナがとても重要なので、係のみんなと工夫して皮をむけるように作りました。とても見事なバナナができて、劇ももりあがって、うれしかった!中学3年のときも、文化祭でクラスで劇をやることになりました。先生から主役(中国の少女)をやらないかといわれましたが、すぐに断りました。人前でなにかをやるなんて、じょうだんじゃない。

 でも、大人になるといやなことでもやらなければいけないときがあるのです。はあ〜。この前、子どもの本を書いている作家さんたちのグループで、「キッズブック・らいぶ」を上演しました。これは、作家が自分の絵本を読むという読み語りの会です。会場は練馬区の幼稚園のホール。午前に1回。午後1回。各回100名のお客さまを前に、歌ったり演じたり。

 出し物は「あらいぐまのクリーニングやさん」という正岡慧子(けいこ)さんの作品。フジテレビの元プロデューサーの天野さんが演出しました。私はねずみの役。チューチューいってクルクルかけまわるだけなんですけど、うまくできないんです。それから、なんかぼーっとしていて、小道具のせんたく物をロープにかけるのをわすれました。それも2回も。はあ〜。じまんじゃないけれど、私は小学校1年生のとき先生から「言葉が話せない子」と思われていました。学校でずっとだまっていたから。手をあげて答えることなんか、とてもじゃないけどできませんでした。いつも、姉のうしろにかくれていました。そんな私ですから、人前でなにかやるのは大仕事。

 じゃあ、やめればいいじゃないって思うでしょう。でもね、来てくれた子どもたちの顔をみるとうれしくなるんです。苦手、苦手といいながらも、私のネズミ役はもう5回目。何度もやっているうちに、いつかじょうずになるかしら。そして人って、子どものころから苦手だなと思っていたことも、がんばってやっていれば、いつかできるようになるものかしら。もし、そうならいいんだけど。