ひなたぼっこばなし 第46話 「 ささやかな夏の思い出 」

高いビル。お盆でもたくさんの人が
はたらいていました。

さぬき倶楽部の庭。 六本木の近くとは
思えない静けさ。

美術館のお庭。しばふには、ひかげがなーい。

表参道ヒルズ。人も少ししかいなくて、
いつもとちがう感じ。

 みなさんは、どんな夏休みをすごしましたか。私はほとんど仕事をしていました。いすにずっとすわっていると腰(こし)はいたくなるし、目はつかれるし。あー、もういやだ!と何度もおもうけど、私がおくれると、ほかの人にめいわくがかかるから、がんばらなくちゃいけない。
でもお盆のころの一日、ちゃんと遊びにいきました。息ぬきもだいじですから。

お盆のころの東京は、車と人が少ないので、とてもゆったりしています。そこで、朝早く、息子と品川のギャラリーに「水」の写真を見に行きました。写真家がそれぞれ「水」をテーマに作品を出していたのですが、わくわくする写真はなし。がっかり。外に出たら、高いビルにもう一つビルがうつっていてびっくり。「うわ〜。なに、これ」。地震がきたらたいへん。こわくなって、いそいでその場を去りました。

お昼は、麻布にある「東京さぬき倶楽部(くらぶ)」にさぬきうどんを食べにいきました。ここは、香川県をひろく知ってもらうための「さぬき大使館」だそうです。本場のさぬきうどんをたべることができます。うどんもおいしかったけど、お庭がまたすてき。土と木々と小鳥とセミと。ひんやりして、いい気持ちでしたよ。

 午後は庭園美術館に行きました。舟越桂(ふなこしかつら)さんの木の彫刻を見たかったからです。この美術館は、元朝香宮邸(あさかのみやてい)。フランス人のデザイナーがつくったアール・デコ調の部屋ごとに作品がおかれていて、ふしぎな空気がただよっていました。美術館のお庭はすばらしくて、暑いのに本をよんでいる人、おやつを食べている人がいました。私たちも美術館のカフェでお茶をのんで、ほっと一息。

そして、おしまいに、夜の東京タワーにのぼるはずだった……のですが、行ってみたらものすごい行列!観光バスがいっぱいとまっていました。そうか、ここは東京の名所だった。東京の夜景をみようと楽しみにしていたのに、残念。しかたないのでなぜか表参道をさんぽしました。人があんまりいなくて、静かでしたよ。東京タワーは、心のこり。ふつうの日に行くことにします。

 お盆のころの町歩きは、いつもの東京とはちがうふんいきを味わえて楽しいです。私のささやかな夏の思い出です。でも、ちょっと、さみしすぎる気もする……。