ひなたぼっこばなし 第68話 「クマは冬眠したのかな」

 
あっ、どんぐり見つけた。
 
あまりおちてないな。場所をかえてみよう。
 
やったー!こんなにひろえたよ。
 
友だちからもとどきました。
クマさんのタオルつき。

 ことしの秋は、山にどんぐりがなくて人里におりてきて殺されたり、麻酔銃(ますいじゅう)をうたれて山にかえされたりしたクマたちが多かったようです。
10月に、村におりてきた母子ぐまを殺したというニュースをみたとき、私はおなかがしぼられるようにいたくなりました。クマの子はひたすらお母さんのあとをついていったにちがいありません。どちらがさきに殺されたのだろう。もう、なんとかならないのかしら。

 なにかできないかといろいろ調べてみました。すると「町のどんぐり」をひろって届けると「けもの道」におきにいってくれる団体をみつけました。ほかの土地の木の実をおくことで生態系(せいたいけい)がくずれるのではという心配もありましたが、このような疑問や意見について団体としての見解(けんかい)をホームページの中できちんとのべていたので安心しました。

 さっそく、どんぐりひろいの開始!家族や友だちにも知らせて送ってもらいました。近くの公園にはいつもたくさん落ちているのですが今年はほんとうに少なくて、びっくり。全部で約4キロ送りました。クマが1日に食べる量にはたりないだろうな。

 どんぐりをひろってしばらくたった11月のはじめに、その団体から電話がきました。「どんぐりを送ってくださって、ありがとうございます。もう山においてきました。」お礼の電話です。びっくりしました。「少なくてごめんなさい」というと、「いいえ。本当にありがとうございます」って。クマは二回雪がふると冬眠に入るそうです。11月中はまだふりそうもないというので、それからまた2キロ送りました。そうしたら、今度はお礼のハガキがきました。活動する人たちのていねいさが伝わってきます。

 クマ、イノシシ、シカ、サル……。畑や果樹園をあらす悪い動物たち。たしかに農業をしている方たちにとっては困る動物たちです。急に会ってしまったらこわいし。(動物たちもこわいから、命がけで人間をおそうのでしょうが)。麻酔(ますい)をうって山にかえすにはお金も人手もかかるでしょう。問題はいっぱいあるけれど、クマたちと、うまくすみわけして平和に暮らしていく方法を私たち人間が知恵をしぼって考えなければいけないと思います。
団体の方がいっていました。「クマは山にどんぐりが豊富にある年は、まったく村におりてくることはないんです」って。ここに解決のヒントがあるような気がします。

プーさん、ウーフ、パディントン、くまくみちゃん……。クマさんたちはお話の中で私たちにやさしさや、笑いや夢をおしえてくれます。ありがとうの気持ちをこめて、知恵をしぼりましょう。 もうみんな、冬眠したのかな。春まで、おやすみなさい。


1回目に送ったどんぐり。4キロ。


2回目に送ったどんぐり。2キロ。