ひなたぼっこばなし 第72話 「さくらの気持ち」

  大地震から、1ヶ月がすぎました。まだ 余震もあるし、放射能の心配もつづいて います。ミネラルウォーターがスーパー にありません。雨がふると、水道の水を くみおきしてくださいとテレビでアナウ ンサーがいいます。日本の水は、安全で おいしかったはずなのに。これからどう なってしまうのでしょう。

 わが家の近くの桜がそろそろちりはじ めています。今年は、いろんな所でさく ら祭りは中止。たしかにちょうちんつけ て、桜の下で飲んだり食べたりさわいだ りは、あまりすきな景色ではなかったけ れど、これだけしずかなのもさみしい気 がします。

   福島県富岡町では、夜の森公園(よの もりこうえん)の桜が有名だそうです。 約500本のソメイヨシノが約2.5キロの 道路の両側に並び、桜のトンネルをつく るのだそうです。でも、今年は原子力発 電の事故のために住民がひなんして、も ぬけのからになってしまいました。
それでも、桜はいつものようにさいて いるのですね。だれも見る人はいなくて も、季節がめぐれば、さくのですね。

 お花見は田の神様が桜を目印におりて こられて、豊作をお願いする人たちと飲 食をともにする行事だそうです。夜の森 公園の桜におりてこられた田の神様は、 ぽつんと一人で途方にくれているかもし れません。今年の米はどうなるのだろう。

 ニュースでがれきの間から、黄色いク ロッカスのつぼみが顔を出した映像を見 ました。生まれたての黄色の美しいこと。
桜もクロッカスも春がきたよって、教え てくれる花たちですが、今年はどんな気 持ちでさいているのでしょう。
 私は思います。桜やクロッカスは、み んなに、きっとこう伝えたいのだと。 「春はくる。くるからね!」

 
桜と菜の花とまるちゃん。
みんな、春だよー。