知床のシカたち
4月に入り、知床も少しずつ春らしくなって来ました。冬の間、森の中でじっと寒さにたえてきたシカたちもあちこちで見られるようになって来ましたが、知床では今、シカがふえすぎていろいろな問題が起きています。

まずシカのはんしょく力が強く、次から次へと数がふえています。そのため雪におおわれて草など食べ物の少ない冬などは、木の皮をはいでやわらかい皮を食べています。木は、木の周りの皮をはがされると葉や枝に水や食べ物が根から運べなくなり、かれてしまうのです。

また先月まで真っ白に雪でおおわれていた道路わきにも緑が見られるようになり、シカがエサをもとめて山から出てくるようになりました。道路わきは、人工的に牧草を植えたので、その草を食べにシカが集まってきます。でも道路にでてしまい、交通事故にあうシカもふえてきました。

シカが出てくるのは、道路わきだけではありません。山の南しゃめんなどの太陽があたって早くから雪がとけ始める所にもシカは集まってきます。シカは、しゃめんの数少ない草を食べつくすと、土を掘り返して根まで食べます。すると土の流れるのをおさえていた根がなくなり土がくずれやすくなります。雨や雪どけの時期にはとくに土が流れやすくなるので山にとってはたいへんな問題です。

このようにシカがふえすぎると自然のバランスまでがくずれてしまいます。しかしシカがいなくなるとシカをとって食べている人や動物、鳥などがこまります。