冬眠するクマ
発信機をつけたクマ
冬眠穴
知床にも本格的な冬がやってきました。鳥獣保護センターの周りにはたくさんの雪が積もり、本州から来る観光客を楽しませています。
この時期、ヒグマは冬眠(とうみん)に入り、次の春まで穴から出てくることはありません。冬眠に入るまでの間、 僕たちは発信機(はっしんき)をつけた1頭のヒグマを毎日追いかけ、どこで冬眠するか調べていました。なぜならこのヒグマは、 道路からとても近い山の斜面(しゃめん)に穴を掘っていたからです。また、夏から秋にかけて毎日のように川の河口に出てきては、 人間を怖(こわ)がらずにサケやマスを獲(と)って食べていた場所にも近かったからです。この秋、最後に僕が このヒグマと会ったのは、国立公園内をパトロールしていた時でした。こちらを見て、見覚えがあるのかジーと見てから急いで森へと 帰っていきました。
ヒグマは冬眠する前にたくさん食べて脂肪(しぼう)をつけるため、冬眠中は何も食べません。深さ3m〜4mぐらいの穴の中で 体温を下げ、浅い眠(ねむ)りをします。メスはこの時期に穴の中で子供を生み、春が来るまでに大きく育てます。 メスはだいたい2頭〜3頭の子供を生みますが、ほとんどの場合、その内の1頭は他の動物に食べられたり、十分な栄養(えいよう)を お母さんから受けることが出来ず死んでしまいます。ヒグマにかぎらず動物が生きていくというのは大変なことなのです。
僕が追いかけていたヒグマの年齢は2歳。まだ手足が長く、耳が大きいため、若いクマだとすぐ分かるぐらいでした。 でも冬眠から出てくる来年の春には一回り大きく育っていることでしょう。
知床連山